LOGO 株式会社クロスリンク・コンサルティング
セキュリティポリシーお問い合せ

会社案内コンサルティング事例紹介掲載記事情報コラムサイトマップ

コラム

コラム

事例紹介
トップページ > コラム > 第7回 縦に行き来する時間



  第7回 縦に行き来する時間
 
2007/04/05 (Thu)
取締役 野瀬 純郎

プロジェクト推進のマネジメントにおける、「時間」というものに対する感じ方、捉え方について考えてみたい。

複雑、不確定なビジネス環境の中で、迅速な判断を迫られる経営に的確に適応すべく、昨今のITシステムの拡張、移行、統合等における要求条件は、ますます難しいものになってきている。なかでも、QCD(品質、コスト、納期)のDに関する要求が特に厳しいことはご承知のとおりである。金を出しても過ぎた時間を取り戻すことはできないのだから、当然であろう。

プロジェクトのタイムマネジメントのなかでスケジュールを策定する際、われわれはごく自然に時間を横軸であらわす。ガントチャートでもPERTでも、時間は左から右に推移する。頭の中でも時間はなんとなく横に流れるイメージで意識される。

それで今まで不都合はなかったし、特に疑問を持つこともなかったのだが、あるとき映画監督・小栗康平氏の次のような言葉に出会い、ハッとしてしばらく活字を追う動きを止めた。「画面の背後に退いていてよく見えないもの、セリフにならないままただそこに“ある”もの、そうしたもろもろが、映画が進むにしたがって位置をずらし、だんだんと前に出てくることはありうることだ。目に見えてある表面的な事柄、それらが一義的にもつ意味から自由になり、見えなかったもの、聞こえなかったものが前に出てくる。そうなればどんなにかすばらしいだろう。映画がほんとうに深さをもてる。時間は横に流れるだけではなく、縦に、画面の奥と手前を退いたりせり出したりして、動く。」

われわれのITプロジェクトマネジメントの一場面を思い浮かべるなら、例えばこんな風だろうか。「いよいよ総合試験も山場を迎え、メンバの目の色が変わってきた。試験チームがスケジュールに沿って次々にシナリオをこなしていく。不具合が発生すると障害票に基づいて直ちに状況が分析され、業務/データ/移行/環境などの関係チームに対応の指示が出される。原因がプログラムのバグと判明すると、修正、正常性確認、デグレード試験を経て正式な更新プログラムがリリースされると同時に、構成管理チームが必要なドキュメントの修正を含め、システム全体を最新の状態に維持する。全員がゴールを目指して、前へ前へと押し進む。・・・」

「この戦場のような中で、品質管理チームのあるメンバが試験記録を整理していて、ある特定の障害発生パターンに気付き、原因がデータ不正によることを突き止めた。しかもそれは環境チームの作業ミスでも、業務チームのプログラミングミスによるものでもなく、設計仕様そのものに誤りがあったことが判明。思わぬところで今まで見過ごしてきた問題が見つかり、その後の混乱を未然に防ぐことができたのは幸運であった。・・・」

もちろん、小栗氏の深い思いはこんなレベルの話ではないと承知しているが、プロジェクトマネジメントの世界にも、スケジュールに従って横に流れて行く時間とは別に、“縦に行き来する時間”は存在すると思うし、それによってチームのメンバ間に深い関係性が生まれ、よろこびや充実感をおぼえることがあると思う。お互いが単に機械的に情報を伝達するだけのつながりでなく、そこにそれぞれの気持ちや思いを乗せたコミュニケーション。プロジェクトの現場で常に意識していたい大切なことのひとつである。


Page Top



Copyright (C) 2008 CrossLink Consulting, Inc. All Rights Reserved.