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  第5回 プロジェクト・マネジャーの能力とアスペルガー症候群
 
2007/02/01 (Thu)
パートナー 葉山 博昭

システム開発に於けるプロジェクト・マネジメントでは、細部を理解し指揮をするというミクロへ向く作業と、全体の把握というマクロに向かう作業を、同時に行っていかなければならない。プロジェクト・マネジャーの能力は、その双方が同時に出来るように求められるが、実際は簡単ではない。
細部の完璧さを求めて行っている作業を理解し指揮する能力と、全体を把握する能力は、一人の技術者の中で両立出来るのだろうか。アスペルガー症候群を通して見ると、ソフトウェア技術者の中で両方の能力が同一人物で成り立つことが難しいのでは、というヒントがあるような気が個人的にする。
アスペルガー症候群とは精神医学での言葉で、発達障害の一種であり、一般的には「知的障害が無い自閉症」とされている。別名高機能自閉症とも呼ばれ、知的障害を伴うカナータイプ(低機能)自閉症とは区別されており、子供にも成年にもある。ビルゲイツも軽度のアスペルガー症候群であることは有名で、特に優秀なプログラマーのかなりはアスペルガー症候群とも言われ、技術者タイプに多いという説がある。アスペルガー症候群の人は常人より早く、多くの量を細部に渡り完璧さを追求出来る能力が高く、特定の分野で極めて高い能力を発揮することも知られており、歴史的にもアインシュタイン、ダビンチ、エジソン、織田信長、野口英世などがアスペルガー症候群と推測されている。アスペルガー症候群の症状としては対人関係の障害、他者の気持ちの推測力、すなわち心の論理の障害が特徴である。1990年頃から病名がつくことにより、レッテルを貼られ過剰に意識されるようになってしまったが、いつの間にか治癒してしまう例もあり、人とのコミュニケーションに若干難がある程度の多様な人間性の一つと捉え、差別しないようにも求められている。

多くの人は下記の二種の性質に分類出来るような気がする。

アスペルガー症候群的:AS的=概括的に捉えたり、ビジネスアプリケーションの設計のように社会との接点、対話が必要な作業は不得意だが、微細な完璧さを求められる作業は得意とするタイプ。

非アスペルガー症候群的:非AS的=プログラミングのように極限まで微細な完璧さを求められる作業よりも、概括的に捉えたり、社会との接点で対話能力発揮するほうが得意とするタイプ。

プロジェクトにおいて、段階的詳細化が進むにつれ全体を俯瞰することが難しくなることは暫し発生するが、その原因はミクロで物を捉える必要性と、マクロで物を捉えるという反対の必要性をプロジェクト・マネジャーという同一人物に求められるからではないだろうか。時たま両方向が可能な技術者も存在しないことはないが、全てのプロジェクト・マネジャーが必ずそうであるとは限らない。細部に拘りを持てるAS的な技術者は高い知的レベルを持っている場合が多いので、全体を捉える俯瞰能力を教育により植えつけることは可能と思われ、技術者に社会性、俯瞰能力、コミュニケーション技術を早期に教育することは重要である。反対にプロジェクト・マネジャーが細部の技術が全く理解出来ない極端に非AS的な人員であった場合は、プロジェクト構成員と会話もままならずマネジメントが成り立たないことがあり得る。
プロジェクト・マネジメント・チームにはAS的、非AS的性質をもった複数のPMクラスの配置を行い、バランスのとれたプロジェクト・マネジメント・チームを作ることで、安全なシステム開発が可能となるのではないだろうか。マイクロソフトのビルゲイツとスティーブン・バルマーの取り合わせが好例で、AS的、非AS的性質のバランスの取れる状態が好ましく、成功した企業ではこのように経営陣のバランスが取れていることが多く、経験則で自然と取り入れている場合も多い。
PMBOK第3版では従来プロジェクト・マネジャーと記述されていた部分がプロジェクト・マネジメント・チームに変更となり、一人のプロジェクト・マネジャーが全面的に責任を持つ方向から、複数の人間によるチーム・プロジェクト・マネジメントに変わってきているのも、上記のような理由にあるのではなかと筆者は個人的に思っている。


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