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  第2回 窮すれば通ず?
 
2007/01/10 (Wed)
取締役 野瀬 純郎 

「窮すれば通ず」という言葉がある。行き詰まって困りきると、かえって活路が見出されるというような意味で使われる。何となくそんなものかなと思ってきた。だから事に当たっては、まじめに、一人称で、逃げない、さすればあとは何とかなるものだ、その程度で納得していた。

ところが、そんなふうに甘く考えてはいけないらしい。出典は中国最古の書・易経で、「易窮則変 変則通 通則久」とある。「易は窮すれば則ち変じ、変ずれば則ち通ず、通ずれば則ち久し」と読む。つまり「窮」と「通」の間には「変」というプロセスがあるよ、ということである。単に窮しただけでは通じないのである。窮して、そして変わることによって通じるのである。変わることが大事なのである。

ところで昨今、ニーズもシーズも目まぐるしく変化するこの不確実性の時代を生き抜くためには、変化する環境にいかに素早く対応していくかが勝敗の鍵をにぎる、という議論が多い。ご他聞に漏れず、わがITCの業界でもよく聞かされる。変化が常態の世界では、変わらなければユデガエルになってしまう、止まっていることは即ち後退を意味する、とにかく変わろう、変えようと浮き足立っているところがある。

しかし、ちょっと待ってほしい。「変化するもの/こと」があるということは、一方で「変化しないもの/こと」があるということでもある。もう少しいえば、「変えてはならないもの/こと」があるということを忘れてはならない。変えない/変わらないというものがあって、初めて変える/変わることの価値が出てくるのではなかろうか。

京都に美濃吉という料亭がある。起源が享保年間というから、かれこれ300年近くも商いを続けていることになる。まさに、指折りの老舗である。その老舗が、自らの使命を「伝統の京料理を革新し続けること」と謳っている。営々と培ってきた京料理をただ守っているのではなく、さらに進化させたいと、器、建物、庭、花まで含めた食空間づくりをめざして、日々変わることを積み重ねている。

そのたゆまぬ変革の営みの中で、決して変えないことがあるという。それは「板前はすべて自前で養成し、子飼いの板前以外には包丁を握らせない」ということである。毅然として信念を貫く商人の目にはいつも「お客様」が見え、心には「おもてなし」の思いが宿っているのだろう。軸がぶれないのである。

ここでもう一度「窮則変 変則通」に戻ってみたい。窮すれば何かが変化する、ということは、とことん行くところまで行かないと変化しない、ということである。窮とは「窮める(きわめる)」と読む。窮めなければ変わらない、逆に言うと変わるまで窮めろ、極限まで行きつくせ、ということではないか。ここに到って、これからは「窮めれば変じ、変ずれば通ず」と読むことにした。変わるのはまわりの事態や状況だけでなく、自分自身が含まれるのは当然である。


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