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  第1回 2007年問題を考える
 
2007/01/10 (Wed)
パートナー 栗田 存 

ナレッジは継承できるのか
まだまだ先のことのように感じていた2007年問題も、いよいよ‘そぐそこにある危機’となってきた。 また、知識社会の扉も開きつつある。 私ごとですが、21年前に、脱サラして設立した会社名を「トータルナレッジ」としたとき、先輩から「10年早いよ。ビジネスは半歩先でなくては」というアドバイスをもらったことを懐かしく思い出す。 そのころから、「ナレッジの継承」というテーマは、念頭から離れず、常に関心を持ち続けてきた。

ナレッジ・マネジメントの出現
1991 年になって、「失敗の本質(第二次世界大戦の日本軍が対象)」の編集メンバーの一人である野中郁次郎が提唱した「ナレッジ・マネジメント(社員一人ひとりが持つ知識(ナレッジ)を収集し、組織として共有・活用を目指す活動の総称。これまで特定の個人しか持ち得なかったナレッジを共有し、組織としての創造性や生産性を底上げすることを目指す)」は、人材の流動性が高いためにノウハウが社内にたまりにくい米国で最初に注目され、その後日本でも広まってきた。

ナレッジ・マネジメントの評価
10年間に渡る「ナレッジ・マネジメント活動」は、どのように評価できるだろうか? 評価をする際、次のことをはっきりしておく必要がある。

* ナレッジとは何か
* ナレッジはすべて形式知化できるか(形式知化できないものは何か)
* 形式知化したものは、どうすれば伝えられるか(伝えられないものは何か)

一方、この質問を遡ぼり、伝えられ形式知化できるものをナレッジとして限定したときに、「ナレッジ・マネジメント」によってどのような効果があったのか?と問いかけることにも意味がある。「ナレッジ・マネジメントの展開」について、総合知識に関する経験をナレッジ化するという過程として捉えると、その過程は、エンジニアリングそのものである。エンジニアリングには、科学領域の理論のようなものはないかも知れないが、現場で効果が実証されている「パレートの法則」「7つの法則」などの経験則は確かにありそうだ。

形式知化できないナレッジもある
伝える側で考えると、暗黙知にしかすぎないナレッジも、すべて形式知化できそうであるが、受け手の側で考えると、はたしてそうだろうか?受け手の側を考えるときに参考になるのは、「ブルーム(米国の教育学者ブルームが提唱し、知識体系の確立に関し、最もよく知られ、かつ広く使用され、認知されている分類方法。認識領域は、次の6つの段階で認識が深まっていくと規定されている)の知識体系」である。知識が形式知化できるということについては、経験的にも異論はないだろうが、スキルは経験しなければ、獲得できないと言い切るということには、反論がありそうである。特に、最近のノウハウ本ブームの背景に、ノウハウを伝えることによって、スキルも伝えることができると考えている節があるが、多分、ブルームの知識体系(後述の参考を参照)の「第3段階:適用、応用」の初心者にとってだけしか役に立たないだろう。 ということで、ナレッジ・マネジメントが有効な範囲には、制約がありそうである。

プロ野球に見る日米のコーチング手法の差
実際に知識を適用する経験をしなければ、獲得することはできないスキルを効率的に身に着ける方法として、コーチングが脚光を浴びている。コーチングを通じてスキルを身に着けるための体験を効率化しようとする考えである。 プロ野球のコーチの役割もまさに同じである。 ところが、「メジャーリーグのコーチは、プレーヤーが聞かない限り教えない」が、「日本のプロ野球のコーチは、手取り足取り教えるのが、いいコーチ」と言われる。この差は、なんだろうか。 多分、マイナーリーグのコーチ、特に、1Aは、日本のプロ野球のコーチ以上に手取り足取りであろう。そして、ブルームの第5段階:統合や第6段階:評価レベルのプレーヤーでなければ、メジャーに上がれないのだと考えると納得できる。 日米のコーチングの差も、突き詰めると、育成体制の差に基づくミッションの差に帰結するのだろう。

IT業界における2007年問題への対応
ユング心理学の重要なキーワードに「マンダラ」(Mandala)という言葉がある。マンダラとは、元々インドのサンスクリット語で「Manda」という本質を意味する言葉に「得る」という意味の接尾語が着いた仏教の儀式などに使用される図絵のことである。 2007年問題は、伝える側がそもそも本質を得る所から始まるが、受け手の側にもプロレベルのプレーヤーになろうという真摯な意気込みが必要となる。 伝える側と受け手の側の双方が協調しなければ解決できない所が、この問題の難しさであろう。

参考 ブルームの知識体系
知識(事前に習得することが可能である)
第1段階:知識 習ったこと(用語、特定の事実、慣例・傾向・手順・分類・種類・基準・方法論の用例、原則・一般化・理論・構造など普遍的かつ抽象的な分野を扱う方法や手段など)を覚えている、思い出す
第2段階:理解 意味をつかむ、解釈する
スキル(実際に知識を適用する経験をしなければ、獲得することはできない)
第3段階:適用、応用 学んだことを新しい状況で使う能力
第4段階:分析 細かくばらばらにする、構成を理解する
第5段階:統合 一度ばらばらにしたものを新しい形に組立てる
第6段階:評価 判断基準に則って価値を判断する


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